2003年1月、並木敏成は再びアメリカン・トーナメントに挑戦する。思い起こせばJBアングラー・オブ・ザ・イヤーという勲章を引っ提げ、新たなる修練の場を求め未知なる大地・アメリカへと旅立ったのが7年前。以来足かけ5年、様々な障碍に翻弄されつつも、一歩そしてまた一歩とそれらを乗り越え、ついには日本人初のバス・マスターズ・クラシック出場という金字塔を打ち立てた。高校2年の時に初バスと出会い、早くも人生の最終目的を得た並木はその後、東京水産大学に入学し、釣り具メーカー・ダイワ精工に入社し、そしてフルタイムバスプロを目指し退社し、一時はタクシードライバーで生活の糧を得ながらツアーを巡り、ついには日本のトーナメンターの頂点に立ち、アメリカに渡った。その間の並木は、現在と同じようにプロフェッショナル・アングラーとしての理想像をひたむきに追い求めていた。B.A.S.S.クラシック出場は、そんな意味では一つの到達点だったかも知れないが、まだまだ並木には成長する可能性がたっぷりと残されている。そんな並木の5年間の総括映像がいま、ここに再編集された。一つひとつの作品にあらためて触れてみても、その理論やテクニックは驚くほど新鮮であり示唆に富んでいる。さらに加えられた最新映像やメッセージも、並木敏成の魅力を余すところなく表現している。そこに浮き彫りにされるのは「これまでの並木、これからの並木」という凛々しいイメージである。並木の新しい旅立ちに際して、これほどふさわしいアンソロジーはない。